俺としたことがサウナで整ってきた
友1「こないだサウナ行ってきてさ~」
友2「俺も最近めっちゃハマってるわ~」
俺 「サウナねぇ……」
友1「お前サウナいったことねえの?」
俺 「小学生の頃に入ったような気がするけど、あんま覚えてない」
友2「もう1回やってみろよ、マジ”整う”から」
俺 「その”整う”ってなんなん?」
友1「なんつーの? 苦しみの先にある物というか」
友2「だんだん気持ちよくなってくるんだよな」
俺 「首絞めセックスみたいなこと?」
友1「ちげーよバカタレ」
友2「死んでくれ」
何ヶ月か前に友人とこんな会話をしたのを覚えている。
正直俺はサウナ好きを謳う人たちを冷めた目で見ていた。
クソ熱い部屋に入った後に、水風呂に浸かると”整う”……? なんじゃそりゃ!
流行ってるからそれを気持ちよく感じるだけだろ!!
そんな俺にサウナを体験する機会が突然やってきた。
この記事はその日の記録である。
ここ最近、毎週土曜日はK君、J君と卓球をしている。
中学生の頃、めちゃんこ陽キャだった俺は卓球部に所属していた。彼らはその頃からの友人である。
ひとしきり打ったあと、晩飯を食った。
いつもはそのまま解散なのだが、その日は少し時間に余裕があった。
銭湯に行くことになった。
ここは二人のオススメの店。温泉の種類が豊富で岩盤浴もでき、何よりサウナがあるとのこと。
サウナ…… またサウナだ……。どこに行ってもサウナの話題が出てくる。
……そんなに良いのか? 俺が知らないだけで、人々を魅了する何かがあるのか……?
これは良い機会かもしれない。ただなんとなく毛嫌いするだけではしょうも無い。
実際に体験してみよう。あくまでフラットな目線で評価しよう。そう思い、俺はサウナに入ることに決めたのである。
K君「うひょ~っ!! サウナじゃサウナじゃっ!!」
J君「なぁ! どっちのサウナに入るよ!?」
俺 「どっち?」
J君「ん? あーごめんごめん笑」
K君「サウナにもいろんな種類があるんすよ笑」
少し嫌な気分になったががまんする。一口にサウナといってもいろんな物があるらしい。今回行った銭湯には遠赤外線サウナと塩サウナがあった。
いったんに温泉に浸かった後に水分補給をしてから遠赤外線サウナの方に入った。
室内の温度は80°、3段になっておりそこに腰掛ける。壁にはテレビが付いていた。
暑っつ!!
驚いた。こんなに暑かったっけ?
サウナ室の中は呼吸をするのが難しい。常に酸素が足りないような感覚。しかし思い切り息を吸い込むと鼻の中が焼けるように熱くなる。
最初は苦しかったが、落ち着いてゆっくり呼吸をしているうちにだんだん心地よくなってきた。滝のように汗をながしながらテレビ番組を見る。流れているのがバラエティ番組で良かった。もしサスペンスや最後にどんでん返しがあるような映画だったら出るタイミングがつかめずそのまま脱水症状で死んでいただろう。
15分ほどたってから水風呂に移動する。水風呂に置かれた桶で汗を流す。
バシャー
俺 「ヒャオホホホッ!!!」
バッシャー
俺 「ンピーッギッギッギ!!!」
バシャバシャー
俺 「ンチャッパパーー!!!」
水風呂に浸かる
俺 「はっはっ…い…痛い…あばばば」
K君「息じゃ! ゆっくり息を吸うんじゃ!!」
俺 「は…はひはひ…ハパパパ」
あまりの冷たさに手足がびりびりと痛くなったが、だんだんその感覚もなくなってきた。体中が冷やされ喉を通る空気がスースーしている。心臓の鼓動が大きくなり、視界がぼやけてくる。命の危険を感じ水風呂からあがる。
俺 「し…死ぬ…死ぬ……」
K君 J君「し…死ぬ…死ぬ……」
俺 「お前らもかい」
ふらふらしながらベンチに腰掛ける
俺 「あーヤバい なんか視界がFPSでグレネードくらったみたいになってる」
K君「最初は体がついて行かないかもね」
俺 「世界がぐるぐるしてる 怖い」
K君「慣れると体がふわふわしてきて頭がすっきりしてくるぞ」
俺 「それが”整う”……」
J君「きてます……」
K君「え……?」
J君「きてます……」
俺 「マリックだ……」
次は塩サウナに入る。部屋の温度は65°。部屋の真ん中には体に塗るための大量の塩がおいてあった。ありがたいことに貸し切り状態だった。
俺 「いだだだっ!! 金玉が痛い!!!」
夏は股間がかゆくなる。部屋で金玉を鬼のように掻きまくっていた代償がここで来た。
貸し切りだったので駄弁りながら汗を流す。
俺 「この塩ってどういう効果があるの?」
J君「なんか美容に良いらしいぜ、毛穴の汚れがとれるんだと」
俺 「ほほー」
K君「サウナってすごくてさぁ、頭がすっきりするからいろんな仕事のアイデアがそこで生まれたりするらしいぜ」
俺 (ジョン・フルシアンテがサウナ中毒だったら"トトノウHey Oh"って曲を書くのかなぁ……)
俺 「俺は働いてないからそれは関係ないかも」
K君「そうね」
サウナ・水風呂・休憩の流れを繰り返す。だんだん体が慣れてきた。
なんとなく分かってきた気がする。ほどよい疲労感と頭がスーとする感覚が心地よい。その状態で外気にふれるのは癖になりそうだ。
K君「どうよ? サウナ」
俺 「正直悪くないかもしれん」
J君「整った?」
俺 「完璧にでは無いと思うけど、こうゆうことなんだなってのは分かったわ」
銭湯をでてコーヒー牛乳を飲む。
少し悔しいがまたやりたいそう思った。その日はめちゃくちゃ気持ちよく眠れた。
あと車できたのを少し後悔した。寝ないように筋肉少女帯を流しながら帰った。